本ドキュメントは、AutoStructureMaker (v2.0 / Eclipse v15.6・v16.1 対応) を施設の臨床運用に投入する前に実施すべきコミッショニング(受入試験・臨床妥当性検証)の実施基準、検証項目チェックリスト、および安全管理手順を定めたものです。
Caution
本スクリプトは、Eclipse 内の患者データに対して輪郭作成・論理演算・マージン付加を直接適用する Write-Access(データ変更権限)スクリプト です。臨床運用に投入する前に、必ず本手順書に従い、テスト用ファントムまたは研究用患者データセットにて検証を実施し、施設の医学物理責任者の承認を得てください。
AutoStructureMaker のコミッショニングは、以下の標準的医療安全ガイドラインに準拠して実施します:
- AAPM TG-275: 放射線治療計画における安全管理と独立検証手順
- AAPM MPPG 5.a: 治療計画装置 (TPS) のコミッショニングおよび品質保証
- ESTRO Booklet No. 7 / 9: IMRT / VMAT の臨床導入における標的・OAR定義の安全管理
- 二重チェック原則: スクリプトが自動作成したすべての輪郭(PTV、マージン、OAR引き算構造)は、治療計画担当者および医師・医学物理士による視覚的・体積的確認の対象とする。
- 幾何学的再現性: 同一テンプレートおよび同一画像データセットに対して、スクリプト実行結果が幾何学的に 100% 一致することを検証する。
- 完全なクリーンアップ担保: 一時作業構造体(Auto-Align 時の
_tA_等)が StructureSet 内に残留せず、確実に削除されることを確認する。
- 幾何学的ファントム (Geometric Phantom):
- 球体または立方体構造を持つ水等価ファントム(マージン拡大縮小量および Boolean 体積の幾何学的理論値評価用)。
- 匿名化済み過去臨床症例 (Anonymized Clinical Cases):
- 前立腺癌、肺SBRT、頭頸部癌など、自施設で過去に治療実施された標準症例(各 2〜3 症例)。
実行前に AutoStructureMaker.config.xml の設定内容を確認します:
<SaveFileNamePrefix>が自施設の運用ルール(例:case_)に適合していること。<InitialDirectory>に指定されたネットワーク共有フォルダ(UNCパス等)へのアクセスが正常であること。
| 検証項目 | 検証手順 | 合格判定基準 | 結果 (Pass/Fail) |
|---|---|---|---|
| 新規輪郭追加 | AddStructure で PTV_Test (DICOM Type: PTV) を追加 |
StructureSet に空の PTV_Test が生成され、DICOM Type が PTV であること |
[ ] |
| 初期解像度確認 | 追加直後の PTV_Test の解像度を Eclipse で確認 |
IsHighResolution が False(Standard Resolution)であること |
[ ] |
| 既存輪郭重複防止 | すでに存在する輪郭と同名で AddStructure を実行 |
既存輪郭が上書きされず保護され、ステータスが Fail となること |
[ ] |
| 輪郭削除 | DeleteStructure で一時輪郭を削除 |
対象輪郭が StructureSet から完全に削除されること | [ ] |
| 承認済み輪郭保護 (削除) | 医師が承認(Approved)済みの輪郭に対して Delete を実行 |
輪郭が削除されず保護され、エラーがログに出力されること | [ ] |
| 承認済み輪郭保護 (代入) | 承認済み輪郭を TargetStructure に指定して実行 | 輪郭の上書き変更が防止され、安全に Fail 終了すること |
[ ] |
幾何学的ファントム(半径 Sphere_Orig)を用いてマージン精度を検証します。
| 検証項目 | 設定マージン | 理論体積または距離 | 実測値 (Eclipse) | 許容誤差 | 結果 |
|---|---|---|---|---|---|
| 等方拡大マージン | Outer, 全方向 5 mm ( |
_____ |
[ ] | ||
| 等方縮小マージン | Inner, 全方向 5 mm ( |
_____ |
[ ] | ||
| 異方マージン (6方向) | Outer, 後方(Y2)=3mm, 他5mm | 断面計測にて前後・左右・頭尾の距離確認 | _____ mm | [ ] | |
| 空輪郭参照ガード | セグメントが存在しない空輪郭を OrigStructure に指定 | ESAPI 例外を起こさずスキップされ、ログに警告が出ること | - | [ ] |
| 検証項目 | 演算 | 期待される動作 | 実測体積 | 合格判定基準 | 結果 |
|---|---|---|---|---|---|
| 差分 (SUB) | 輪郭 A から B との重なりを除去 | _____ |
重複領域が完全に除去されていること | [ ] | |
| 積集合 (AND) | 輪郭 A と B の交差領域のみを抽出 | _____ |
交差領域の体積が理論値と一致すること | [ ] | |
| 和集合 (OR) | 輪郭 A と B を結合して 1 つにする | _____ |
|
[ ] | |
| 排他 (XOR) | 重複部分を除いた両側の領域を抽出 | _____ |
|
[ ] | |
| 空輪郭参照ガード | A または B に空輪郭を指定 | 演算が安全にスキップされ、警告ログが出力されること | - | [ ] |
Standard Resolution 輪郭(膀胱等)と High Resolution 輪郭(高解像度 PTV 等)の組み合わせによる Boolean 処理を検証します。
| 検証項目 | 検証手順 | 合格判定基準 | 結果 (Pass/Fail) |
|---|---|---|---|
| UI インジケーター表示 | 解像度が異なる A と B を選択 | UI 上に ⚡ Auto-Align (High-Res) バッジが表示されること |
[ ] |
| 例外ゼロ実行 | 「RUN」を実行 | ESAPI の解像度例外が発生せず、正常に Done となること |
[ ] |
| Target 輪郭の高解像度化 | 演算後の Target 輪郭の解像度を確認 | Target 輪郭が High-Resolution に自動昇格していること | [ ] |
| 一時作業構造体の完全消去 | 実行後の Structure 一覧を確認 | _tA_ や _tB_ などの一時作業構造体が残留していないこと |
[ ] |
| 検証項目 | 検証手順 | 合格判定基準 | 結果 (Pass/Fail) |
|---|---|---|---|
| 高解像度化 | 標準輪郭に対して ConvertHighRes を実行 |
輪郭の IsHighResolution が True に変化すること |
[ ] |
| 形状忠実度 | 変換前後の輪郭断面をオーバーレイ表示して比較 | 形状の歪みや位置ズレが生じていないこと | [ ] |
| 検証項目 | 操作手順 | 合格判定基準 | 結果 (Pass/Fail) |
|---|---|---|---|
| 後続ステップへの自動伝播 | Step 1 で PTV_New を Add 入力後、Step 2 のドロップダウンを開く |
Step 2 のプルダウン候補に PTV_New が [NEW: STD] で表示されること |
[ ] |
| 解像度昇格の自動追従 | Step 2 で PTV_New を ConvertHighRes 指定後、Step 3 の候補を確認 |
Step 3 のプルダウン候補で PTV_New が [NEW: HIGH] に切り替わること |
[ ] |
| ステップ並び替え連動 | ▲ / ▼ でステップの順序を入れ替える |
新しいステップ順序に基づいて候補一覧と解像度が即時再同期されること | [ ] |
| ステップ個別削除連動 | ✕ で先行ステップを削除する |
後続ステップの候補一覧から該当輪郭が即時除外されること | [ ] |
| ステップ複製機能 | 任意のステップで「⧉(複製)」を押下 |
全パラメータを保持した同一ステップが直下に即座に挿入されること | [ ] |
| 有効/無効トグル連動 | カードのチェックボックスを OFF にする | カードが半透明(Opacity 0.55)になり、後続の伝播から除外されること | [ ] |
| 無効化ステップの実行スキップ | 無効化ステップを含む状態で「RUN」を実行 | 該当ステップが実行されず Skip(灰色)となり後続が正常動作すること |
[ ] |
| 実行後のパラメータ完全保持 | マージン・Boolean等を含むパイプラインを実行 | 「RUN」完了後、各カードの Target Structure、OrigStructure 等が空欄にならず維持されること | [ ] |
| テスト項目 | 模擬異常入力 | 期待される保護動作 | 結果 (Pass/Fail) |
|---|---|---|---|
| Pre-Flight 事前検証 (✔ Check) | 未定義輪郭参照や重複 Add を含む状態で「Check」を押下 | ダイアログでエラー・警告が一覧表示され問題箇所を特定できること | [ ] |
| Pre-Flight RUN ブロック | エラー状態のまま「RUN」を押下 | 実行が安全に中断され、不正な処理が Eclipse に適用されないこと | [ ] |
| マージン入力値異常 | マージン欄にアルファベット(abc)や空白を入力して実行 |
クラッシュせず、既定値(7mm)へ自動フォールバックして処理 | [ ] |
| 空の輪郭名指定 | 輪郭名を空欄のまま実行 | スクリプトが停止せず、該当ステップが Fail となりログに警告出力 |
[ ] |
| 存在しない輪郭の参照 | 存在しない輪郭名を手入力して Boolean を実行 | Structure not found がログに出力され、安全に Fail 終了 |
[ ] |
| 処理の中断・破棄 | 実行後に Eclipse の「Reload」を実行 | 患者データが実行前の状態へ完全に復旧すること | [ ] |
すべての受入試験項目が合格基準を満たしたことを確認し、施設の運用責任者による承認をもって臨床使用を開始してください。
| 確認区分 | 担当者氏名 | 職種 | 承認印 / 署名 | 日付 |
|---|---|---|---|---|
| 受入試験実施者 | 医学物理士 / 診療放射線技師 | 年 月 日 | ||
| 受入試験確認者 | 主任医学物理士 | 年 月 日 | ||
| 臨床運用責任者 | 放射線治療専門医 | 年 月 日 |
- 使用リニアック装置名: ___________________________
- Eclipse バージョン: ___________________________
- 標準 XML テンプレート保管場所: ___________________________